司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第1問 解説
- 構成要件
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第1問〕(配点:2)
過失犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[No.1])
- 1.共同正犯に関する刑法第60条は,意思の連絡を要件としているので,過失犯には適用されない。
- 2.重過失とは,重大な結果を惹起する危険のある不注意な行為をすることをいう。
- 3.過失犯の成立に必要となる結果発生の予見可能性は,内容の特定しない一般的・抽象的な危惧感ないし不安感を抱く程度の予見の可能性で足りる。
- 4.行為者が法令に違反する行動をした事案においても信頼の原則が適用される場合がある。正解
- 5.ホテルの火災により死傷者が出た場合,火災発生時に現場にいなかったホテル経営者には業務上過失致死傷罪が成立することはない。
問題のリキャップ
過失犯について、共同正犯規定 (60 条) の適用可否、重過失の意義、予見可能性の対象、信頼の原則、業務上過失致死傷罪における経営者の罪責を横断的に問う問題。
正解: 4
1. 誤り: 過失共同正犯は肯定可能
刑法 60 条 の共同正犯について、判例・通説 (とくに行為共同説の系統) は、客観的行為の共同があれば足り、結果回避義務を共同して負担している場合には過失犯にも適用が及ぶとして 過失の共同正犯を肯定 する余地を認める。「過失犯には適用されない」と一律に否定するのは判例の立場と整合しない。
2. 誤り: 重過失は「著しい不注意」
重過失とは、判例・通説上、注意義務違反の程度が著しく、わずかな注意を払えば結果を回避できたといえるような 著しい不注意 をいう。「重大な結果を惹起する危険のある不注意」という結果の重大性に着目した定義は、重過失の概念と整合しない。
3. 誤り: 抽象的危惧感説は判例の立場ではない
過失犯の予見可能性について、 具体的予見可能性説 を採るのが判例・通説的整理であり、内容の特定しない一般的・抽象的な危惧感ないし不安感を抱く程度では足りないと整理されている。本肢の「危惧感説」は通説的に否定されており、判例の立場と整合しない。
4. 正しい: 法令違反者にも信頼の原則が適用される場合あり
信頼の原則 (他者が交通規則等を遵守することを信頼して行動することの正当化) について、行為者自身が法令に違反していたとしても、他の交通関与者が交通規則を遵守することを信頼することが相当な状況下では、当該違反と結果との因果関係や過失を否定する余地が認められると整理されている。「行為者の法令違反があれば一切信頼の原則は適用されない」とは整理されていない。よって本肢は正しい。
5. 誤り: 不在の経営者にも業務上過失致死傷罪が成立し得る
ホテル等の管理者・経営者は、火災予防のための防火管理体制を整備する 平時の注意義務 を負っており、火災発生時に現場にいなかったとしても、防火体制不備が原因で死傷者が出れば、判例上、経営者にも業務上過失致死傷罪 (刑法 211 条) が成立する余地がある (大規模ホテル火災事件等の判例ライン)。「現場にいなければ一切成立しない」とする本肢は判例と整合しない。
よって正しいのは 肢 4。