司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第16問 解説
- 放火罪
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第16問〕(配点:3)
放火の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.26],[No.27]順不同)
- 1.甲は,Aが所有する自動二輪車に放火するため,これに使用するガソリンとライターを所持して同自動二輪車に近づいたが,甲に不審を抱いた警察官から職務質問を受け,放火するに至らなかった。この場合,甲には,放火予備罪は成立しない。正解
- 2.甲は,自己が所有する無人の木造倉庫に放火してこれを焼損し,よって公共の危険を生じさせ,その結果,Aが居住する木造家屋に延焼させたが,その延焼についての認識はなかった。この場合,甲には,延焼罪は成立しない。
- 3.甲は,自己が所有する自動二輪車に放火してこれを焼損し,よって公共の危険を生じさせたが,その公共の危険が生じることについての認識はなかった。この場合,甲には,建造物等以外放火罪は成立しない。
- 4.甲は,隣人Aが居住する木造家屋を焼損しようと考え,同家屋から1メートル離れた位置にある自己が所有する無人の木造倉庫に放火してこれを焼損したが,同家屋に延焼する危険を生じさせるにとどまった。この場合,甲には,現住建造物等放火未遂罪は成立しない。
- 5.甲は,Aが1人で居住しており,他に誰もいなかった木造家屋内でAを殺害し,その直後,同家屋に放火してこれを焼損した。この場合,甲には,現住建造物等放火罪は成立しない。正解
正解: 1 と 5
放火罪における客体類型 (現住建造物・非現住建造物・建造物等以外) と、予備・未遂・延焼罪・公共危険認識の各要件を組み合わせて検討する。
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正しい。放火予備罪を定める 刑法 113 条 は「第百八条又は第百九条第一項の罪を犯す目的」での予備のみを処罰対象としており、自動二輪車は 刑法 110 条 の建造物等以外放火罪の客体である。同条には予備処罰規定が置かれていないため、ガソリンとライターを所持して接近した段階では放火予備罪は成立しない。
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誤り。自己所有の無人木造倉庫への放火で公共の危険が生じれば 刑法 109 条 2 項の罪が成立し、これが「他人所有現住建造物 (108 条物)」に延焼すれば 刑法 111 条 1 項の延焼罪が成立する。延焼罪は基本犯の故意のみで足りる結果的加重犯であり、延焼結果の認識は要件ではないので延焼罪の成立は否定されない。
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誤り。刑法 110 条 2 項は自己所有建造物等以外放火罪を規定し、公共の危険発生を客観的構成要件とするが、公共危険発生の認識は構成要件的故意の対象とは解されておらず、結果的加重犯に類似した処理がされると整理されることが多い。よって甲が公共危険発生を認識していなくても建造物等以外放火罪の成立は妨げられないと解される。
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誤り。隣人 A 居住家屋を焼損する目的で 1 メートル離れた自己所有倉庫 (109 条 2 項物) に放火し、これを焼損して隣家への延焼の危険を生じさせた以上、現住建造物 (刑法 108 条) への実行の着手が認められる、というのが判例の立場である。隣家を焼損するに至っていなくても 刑法 43 条 により現住建造物等放火未遂罪が成立する。
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正しい。A 1 人が居住する家屋内で A を殺害した時点で、当該家屋は「現に人が住居に使用し」または「現に人がいる」物件 (刑法 108 条) ではなくなる、というのが判例の整理である。殺害直後にこれを焼損しても現住建造物等放火罪は成立せず、刑法 109 条 の非現住建造物等放火罪の問題となる。
よって正解は 1 と 5。