司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第14問 解説
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解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第14問〕(配点:2)
証拠隠滅等罪(刑法第104条)に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は,[No.24])
ア.自己の犯罪行為に関する証拠の隠滅を他人に教唆し実行させた場合,証拠隠滅罪の教唆犯は成立しない。
イ.自己の配偶者の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合,証拠隠滅罪が成立する。
ウ.貸金返還請求訴訟における被告が,同訴訟の証拠である消費貸借契約書の原本を焼却した場合,証拠隠滅罪は成立しない。
エ.被告人の友人が,被告人の犯罪行為に関する偽証を証人に教唆し実行させた場合,証拠偽造罪の教唆犯は成立しない。
オ.いまだ捜査が開始されていない段階で,他人の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合,証拠隠滅罪が成立する。
- 1.1個
- 2.2個
- 3.3個
- 4.4個正解
- 5.5個
正解: 4
証拠隠滅等罪 (刑法 104 条) の客体・主体・成立範囲を、条文の文言と通説的整理に沿って各記述について検討する。
ア. 誤り。刑法 104 条 は「他人の刑事事件に関する証拠」を客体とし、自己の刑事事件に関する証拠の隠滅は本人について処罰されない (期待可能性が乏しいことが理由とされる)。もっとも、本人が他人を教唆して証拠を隠滅させた場合は、もはや期待可能性の欠如を肯定しうる事情を超えて他人を巻き込んだものといえ、証拠隠滅罪の教唆犯が成立すると解されている (通説的整理)。したがって「教唆犯は成立しない」とする本記述は誤り。
イ. 正しい。配偶者は親族にあたり、刑法 105 条「犯人又は逃走した者の親族であるとき」に該当する。もっとも、同条は「その刑を免除することができる」と定めるにとどまり、構成要件該当性や違法性を否定する規定ではなく、刑の任意的免除事由にすぎないと整理されることが多い。したがって、配偶者の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合でも証拠隠滅罪自体は成立する。
ウ. 正しい。刑法 104 条 の客体は文言上「他人の 刑事事件 に関する証拠」に限定されており、民事訴訟における証拠はそもそも同条の客体に含まれないと解されている。貸金返還請求訴訟は民事訴訟であり、その証拠である消費貸借契約書の原本を焼却しても、刑事事件に関する証拠の隠滅にあたらない。よって証拠隠滅罪は成立しない。
エ. 正しい。証人が法律により宣誓したうえで虚偽の陳述をする行為は、刑法 169 条 の偽証罪を構成する独立の犯罪類型である。証人に偽証を教唆して実行させた者は偽証罪の教唆犯としての罪責を負うのであって、別個に 刑法 104 条 の証拠偽造罪の教唆犯が成立するわけではないと整理されている。したがって「証拠偽造罪の教唆犯は成立しない」とする記述は正しい。
オ. 正しい。刑法 104 条 の「刑事事件に関する証拠」には、現に捜査が開始されている事件に関するものに限らず、将来刑事手続において証拠となりうるものも含まれると解されている (通説的整理)。捜査開始前の段階で隠滅された証拠であっても、後の刑事手続で利用されうる以上は同条の客体性を失わない。したがって、いまだ捜査が開始されていない段階で他人の犯罪行為に関する証拠を隠滅した場合でも証拠隠滅罪は成立する。
よって正しいのはイ・ウ・エ・オの 4 個であり、正解は 4。