司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第18問 解説
- 強盗罪
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第18問〕(配点:2)
強盗の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。(解答欄は,[No.30])
- 1.甲は,銭湯の脱衣場で窃盗をしようと考え,客の財布を手に取って在中する金額を確認中,その様子を目撃した乙から声を掛けられたため,逮捕を免れる目的で,乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えて加療約1か月間を要する傷害を負わせた。この場合,甲には,事後強盗罪及び強盗致傷罪が成立し,両罪は観念的競合となる。
- 2.甲は,電車内で寝ていた乙の財布を盗んで電車を降りたが,乙が目を覚まして追い掛けてきたため,逮捕を免れる目的で,乙に暴行を加えたところ,乙が転倒して重傷を負い,反抗が抑圧された状態に至った。この場合,甲の暴行の程度を問わず,甲には,強盗致傷罪が成立する。
- 3.甲は,留守宅に侵入して窃盗をしようと考え,金品を物色中に家人が帰ってきたら同人に反抗を抑圧するに足りる程度の脅迫を加えて逃げる意図でサバイバルナイフを携帯し,住宅街を徘徊して侵入に適した留守宅を探したが,これを発見できず,侵入を断念した。この場合,甲には,強盗予備罪が成立する。正解
- 4.甲は,窃盗の目的で乙宅に侵入し,金品を物色中,乙に発見されたため,この機会に乙に暴行を加えて金品を奪おうと考え,乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え,金品を奪った。この場合,甲には,事後強盗罪が成立する。
- 5.甲は,乙宅に侵入して財布を盗んだ後,誰にも発見されずに1キロメートル離れた公園へ移動して財布内の現金を確認した。しかし,甲は,その金額に満足せず再度乙宅で窃盗をしようと考え,乙宅を出た30分後に乙宅に戻り,その玄関扉を開けようとしたところ,帰宅していた乙に発見されたため,逮捕を免れる目的で,乙に反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えた。この場合,甲には,事後強盗罪が成立する。
正解: 3
事後強盗罪 (刑法 238 条)・強盗予備罪 (刑法 237 条)・強盗致傷罪 (刑法 240 条) の成立範囲を、窃盗の機会継続性および「強盗とみなす」効果との関係で問う問題。
-
誤り。事後強盗罪 (刑法 238 条) は本犯の窃盗を強盗とみなす規定であり、その暴行により傷害結果を生じれば、強盗致傷罪 (刑法 240 条) のみが成立する。事後強盗罪は強盗致傷罪に包摂されるため、両罪が観念的競合となる余地はない。
-
誤り。強盗致傷罪 (刑法 240 条) は基本犯として強盗罪 (刑法 236 条) または事後強盗罪 (刑法 238 条) の成立を要する。事後強盗罪の暴行は反抗を抑圧するに足りる程度であることが必要であり、軽微な暴行から偶発的に重傷が生じても基本犯が成立しない以上、強盗致傷罪は成立しない。「暴行の程度を問わず」とする本記述は誤り。
-
正しい。事後強盗罪 (刑法 238 条) は窃盗を「強盗として論ずる」と規定するため、強盗予備罪 (刑法 237 条) にいう「強盗の罪を犯す目的」には事後強盗目的も含まれると解されている。サバイバルナイフを携帯して侵入先を物色する行為は、暴行・脅迫による逃走を企図した予備行為に当たり、強盗予備罪が成立する。
-
誤り。窃盗中に発見された行為者がその場で奪取意思を生じ、反抗抑圧に足りる暴行を加えて金品を奪った場合は、いわゆる居直り強盗であり、暴行が奪取の手段となっている以上、通常の強盗罪 (刑法 236 条) が成立する。窃盗後の追跡を逃れる等の目的で行う事後強盗罪 (刑法 238 条) には当たらない。
-
誤り。事後強盗罪 (刑法 238 条) の暴行は、窃盗の機会の継続中に行われることを要する。本記述では、誰にも発見されないまま犯行現場から 1 キロメートル離れた公園に移動し、30 分後に再度の窃盗目的で同じ家に戻った時点で発見されており、最初の窃盗との機会的連続性は失われている。再侵入時の暴行は事後強盗罪の暴行とはいえず、新たな住居侵入未遂と暴行罪等の問題となるにとどまる。
よって正解は 3。