司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第12問 解説
- 名誉毀損罪
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第12問〕(配点:2)
名誉毀損罪及び侮辱罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(解答欄は,[No.22])
ア.事実を摘示せずに公然と人を侮辱することを教唆した者に,侮辱教唆罪が成立することはない。
イ.弁護人が被告人の利益を擁護するためにした弁護活動であれば,それが名誉毀損罪の構成要件に該当する行為であっても,違法性が阻却されるため,名誉毀損罪が成立することはない。
ウ.人の社会的評価を害するに足りる事実を公然と摘示したとしても,その人の社会的評価が現実に害されていない場合,刑法第230条第1項にいう「人の名誉を毀損した」とはいえないため,名誉毀損罪は成立しない。
エ.私人の私生活の行状であっても,その携わる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度等によっては,刑法第230条の2第1項にいう「公共の利害に関する事実」に当たる場合がある。
オ.インターネットを利用して公然と虚偽の事実を摘示し,人の名誉を毀損した場合,他の表現手段を利用する場合と異なり,インターネットの個人利用者に要求される水準を満たす調査によって摘示した事実が真実か否かを確かめることなく発信したときに限り名誉毀損罪が成立する。
- 1.アエ正解
- 2.アオ
- 3.イウ
- 4.イオ
- 5.ウエ
正解: 1 (アエ)
名誉毀損罪 (刑法 230 条) と侮辱罪 (刑法 231 条) について、構成要件・違法性阻却事由・教唆犯の成否を横断的に問う設問。
ア. 正しい。本問出題時 (令和 4 年改正前) の侮辱罪の法定刑は「拘留又は科料」のみであり、刑法 64 条 は「拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない」と定める。侮辱罪については特別の規定がないため、事実を摘示せずに公然と人を侮辱することを教唆した者には侮辱教唆罪は成立しない。
イ. 誤り。弁護人の弁護活動が 刑法 35 条 の正当業務行為として違法性阻却される余地はあるが、判例の立場では個別事案で目的・態様・必要性等を総合判断するのであって、弁護活動である一事をもって常に違法性が阻却されるわけではない。被告人の利益擁護を口実に第三者の名誉を不必要に害する行為まで一律に不可罰となるとする本記述は誤り。
ウ. 誤り。判例の立場では、名誉毀損罪は人の社会的評価を害する 危険を生じさせれば足りる抽象的危険犯 と解されており、現実に社会的評価が害されたことは構成要件上要求されない。社会的評価を害するに足りる事実を公然と摘示すれば、現実の侵害結果が生じなくても本罪は成立する。
エ. 正しい。判例の立場では、私人の私生活上の行状であっても、その者が携わる社会的活動の性質およびこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度等のいかんによっては、刑法 230 条の 2 第 1 項にいう「公共の利害に関する事実」に当たる場合があるとされる。本記述は判例の判示内容に沿う。
オ. 誤り。判例の立場では、インターネットを利用して摘示した場合であっても、他の表現手段による場合と同様に、行為者が摘示事実を真実と誤信したことについて、 確実な資料・根拠に照らして相当の理由がある ときに限り故意が阻却されると解されており、「個人利用者に要求される水準を満たす調査」という緩和された基準は採用されていない。
よって正しいのはア・エであり、正解は 1。