司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第8問 解説
- 業務妨害罪
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第8問〕(配点:2)
学生A,B及びCは,次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑥までの()
内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。なお,①から⑥までの()内にはそれぞれ異なる語句が入る。(解答欄は,[No.14])
【会話】
学生A.私は,公務も公務員としての個人の社会的活動であり,その性質に関わりなく業務妨害罪によって保護されるべきなので,(①)と考えます。
学生B.私は,国家的法益と個人的法益では罪質が違うので,(②)と考えます。
学生C.B君の見解では,(③)ような威力による非権力的公務に対する妨害のときに業務妨害罪が成立せず,非権力的公務の保護が不十分との批判がありますね。このような批判を踏まえて,私は,(④)と考えます。
学生A.C君の見解によると,(⑤)ような暴行による非権力的公務に対する妨害については,いかなる犯罪が成立するのでしょうか。
学生C.その場合には,業務妨害罪と公務執行妨害罪が成立すると考えます。
学生B.C君の見解に対しては,(⑥)との批判がありますね。
【語句群】
a.全ての公務が業務妨害罪の対象となる
b.強制力を行使する権力的公務以外の公務に限って業務妨害罪の対象となる
c.公務は一切業務妨害罪の対象とならない
d.威力による非権力的公務に対する妨害のときに処罰の間隙が生じてしまう
e.逮捕行為や強制執行のように,自力で抵抗を排除し得る機能を付与されている場合まで威力に対する保護を認めることになる
f.公務は公共の福祉を目的とするので,民間の業務より厚く保護されるべきである
g.公務に限って二重に保護する必要はない
h.市役所の窓口業務を大声を上げて妨害した
i.警察官による適法な捜索差押えの際,多数名で怒号しながら入口を塞いで警察官が捜索場所に立ち入るのを妨害した
j.公立学校の入学試験監督員である教員を拳で殴って試験会場に入るのを阻止した
- 1.①a②c③j
- 2.①a④b⑥e
- 3.②c③h④a
- 4.③h⑤i⑥g
- 5.④b⑤j⑥g正解
正解: 5 (④b ⑤j ⑥g)
業務妨害罪 (刑法 233 条・刑法 234 条) と公務執行妨害罪 (刑法 95 条) の関係につき、公務が業務妨害罪の客体になるかをめぐる学説対立を整理する問題。 公務全部肯定説 (学生 A) ・ 公務消極説 (学生 B) ・ 限定積極説 (学生 C) の三説の論理を追って各空欄を埋める。
① 学生 A (公務全部肯定説): 公務もその性質を問わず業務妨害罪で保護されるべきとする立場の帰結は「全ての公務が業務妨害罪の対象となる」(a)。
② 学生 B (公務消極説): 国家的法益と個人的法益の罪質の違いを強調する立場からは「公務は一切業務妨害罪の対象とならない」(c) という帰結になる。公務は 刑法 95 条 の公務執行妨害罪で別途保護されるという棲み分けの発想である。
③ B 説への批判事例: B 説では、公務執行妨害罪の構成要件 (暴行・脅迫) を充たさない 威力 による 非権力的公務 への妨害が処罰の間隙に落ちる。語句群のうちこの類型に当たるのは「市役所の窓口業務を大声を上げて妨害した」(h)。i は警察官の捜索差押え = 権力的公務、j は教員への暴行 = 暴行による妨害なので、いずれも③の例示としては不適。
④ 学生 C (限定積極説): ③の処罰の間隙を埋めるべく、強制力を行使する権力的公務 (= 公務執行妨害罪で十分に保護される領域) を業務妨害罪から外し、それ以外の非権力的公務に限って業務妨害罪の対象とする見解。空欄に入るのは「強制力を行使する権力的公務以外の公務に限って業務妨害罪の対象となる」(b)。
⑤ C 説における暴行 + 非権力的公務の事例: C 説は非権力的公務を業務妨害罪で保護するため、当該公務に対する暴行は業務妨害罪 (刑法 234 条) と公務執行妨害罪 (刑法 95 条) の双方を充たす。語句群で「暴行 × 非権力的公務」に該当するのは、入学試験監督員 (= 非権力的公務) を拳で殴った「公立学校の入学試験監督員である教員を拳で殴って試験会場に入るのを阻止した」(j)。i は権力的公務なので C 説では業務妨害罪の客体にならず、⑤の例には不適。
⑥ C 説への批判: ⑤のとおり C 説では非権力的公務に対する暴行が業務妨害罪と公務執行妨害罪の双方で重畳的に処罰される。これに対しては「公務に限って二重に保護する必要はない」(g) との批判が向けられる。なお e (自力で抵抗を排除し得る機能を付与されている公務まで威力に対する保護を認めることになる) は、強制力ある権力的公務まで業務妨害罪に取り込む A 説 (公務全部肯定説) への批判であって、C 説への批判ではない。
選択肢検証:
| 肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| 1 | ①a ②c ③j | ③は h、j は⑤の事例 |
| 2 | ①a ④b ⑥e | ⑥は g、e は A 説への批判 |
| 3 | ②c ③h ④a | ④は b、a は①の A 説の結論 |
| 4 | ③h ⑤i ⑥g | ⑤は j、i は権力的公務で C 説の例に不適 |
| 5 | ④b ⑤j ⑥g | 全て一致 |
よって正解は 5 (④b ⑤j ⑥g)。