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司法試験 / 刑法

2021年 司法試験 刑法 第3問 解説

  • 詐欺罪
  • 共犯
  • 判例

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第3問〕(配点:3)

次の【事例】及び【判旨】に関する後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.7],[No.8]順不同)

【事例】

Xは,Aに電話を掛け,本来支払う必要のない違約金をAが支払わなければならない旨うそを告げた。Aはうそを見破ったが,警察官から,「だまされたふり作戦」(引き続き犯人側の要求どおりに行動しているふりをして犯人を現行犯逮捕しようとする捜査手法をいう。)に協力することを依頼された。Aはこれに応じ,現金を某所に送付するようにというXの指示に従ったふりをして,現金の代わりに模擬紙幣が入った荷物を同所に向けて発送した。その後,被告人は,Xから,報酬を支払う約束の下に荷物の受領を依頼され,詐欺の被害金を受け取る役割である可能性を認識しつつ,これを引き受け,「だまされたふり作戦」が開始されたことを認識せずに,上記場所で同荷物を受領し,警察官に現行犯逮捕された。

【判旨】

被告人は,本件につき,Xによる欺罔行為がされた後,「だまされたふり作戦」が開始されたことを認識せずに,Xと共謀の上,本件を完遂する上で欺罔行為と一体のものとして予定されていた受領行為に関与している。そうすると,「だまされたふり作戦」の開始の有無にかかわらず,被告人は,その加功前の欺罔行為を含めた本件につき,詐欺未遂罪の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。

【記述】

  1. 1.【判旨】は,被告人に詐欺未遂罪の共同正犯が成立するには,前記荷物の受領行為自体に未遂犯として処罰すべき法益侵害の危険性が必要であり,その危険性の有無は,一般人が認識可能であった事情及び被告人が特に認識した事情に基づいて判断すべきという立場に立った上で,一般人は,Aが「だまされたふり作戦」に協力している事実を認識することが可能であったとの評価を前提としている。
  2. 2.【判旨】に対しては,Aがうそを見破っている以上,被告人が関与した時点では,詐欺罪が既遂に至る可能性がなく,被告人が法益侵害の危険性を惹起したとはいえないとの批判が考えられる。正解
  3. 3.【判旨】を前提とした場合,強盗罪における財物奪取行為のみに関与した者には,同罪の共同正犯の成立を認めることはできない。
  4. 4.【判旨】は,欺罔行為と財物受領行為の一体性を根拠として,財物受領行為のみに関与した者について,詐欺罪の承継的共同正犯を認めるとの立場と矛盾するものではない。正解
  5. 5.【判旨】によれば,被告人がXのAに対する欺罔行為の内容を認識していても,同欺罔行為を自己の犯罪の手段として積極的に利用する意思がない場合には,詐欺未遂罪の共同正犯の成立が否定される。

正解: 2 と 4

【事例】では、Xの欺罔行為後、Aが嘘を見破り「だまされたふり作戦」が開始された段階で、被告人が荷物受領役として加功した。【判旨】は、被告人が作戦開始を認識せず、欺罔行為と一体のものとして予定されていた受領行為に関与したことを根拠に、加功前の欺罔行為を含めて 刑法 246 条 の詐欺未遂罪 (刑法 250 条) の共同正犯 (刑法 60 条) の成立を認めた。

  1. 誤り。本判旨は、受領行為それ自体に独立の法益侵害の危険性を要求し、その危険性を一般人認識可能事情と行為者特別認識事情から判断するという不能犯論的フレームワーク (具体的危険説) を判断の中核に据えていない。本判旨はむしろ、欺罔行為と受領行為の一体性を根拠に、「だまされたふり作戦」の開始の有無にかかわらず加功前の欺罔行為を含めた共同正犯責任を肯定しており、一般人が作戦協力の事実を認識可能であったか否かを判断要素として取り込んでいない。記述 1 が前提として置く立場および評価は本判旨のものではない。

  2. 正しい。本判旨に対する有力な批判として、Aが嘘を見破った時点で被告人加功時には財産取得に至る現実的可能性は消滅しており、被告人が加功時点で新たに惹起する未遂犯処罰に値する法益侵害の危険は存在しないとの指摘が成り立つ。これは、加功者は加功時点での自己の行為について独立に評価されるべきであり、加功前の他人の行為を取り込んで責任を拡張すべきでないという立場 (承継的共同正犯否定説 / 限定説) からの正面の批判であり、批判として「考えられる」かを問う本記述の命題は成立する。

  3. 誤り。本判旨は詐欺罪の構造的特殊性、すなわち欺罔から交付に至る一連の流れの中で受領行為が欺罔行為と一体のものとして予定されていることを根拠としており、強盗罪その他の罪に同じ論理がそのまま及ぶか否かは別途検討を要する。本判旨は強盗罪における財物奪取行為のみへの加功者についての共同正犯成立の可否を肯定も否定もしておらず、本判旨を前提に「成立を認めることはできない」と一義的に断じる記述 3 の命題は本判旨自体から導けない。

  4. 正しい。本判旨は欺罔行為と受領行為の一体性を根拠に、加功前の欺罔行為を含めた共同正犯責任を加功者に認めるという結論をとる。これは、財物受領行為のみに関与した者について加功前の欺罔行為についても罪責を負わせるという承継的共同正犯肯定説の結論と一致しており、両者は矛盾しない。

  5. 誤り。本判旨は、被告人が「詐欺の被害金を受け取る役割である可能性を認識しつつ」引き受けたという未必的認識をもって詐欺未遂罪の共同正犯の成立を肯定しており、先行行為を自己の犯罪遂行のために積極的に利用する意思 (積極的利用意思) を共同正犯成立の独立の必要条件として要求していない。承継的共同正犯肯定説 (限定説) において積極的利用意思を要件とする見解は議論されるが、本判旨の論理からは、欺罔行為の内容を認識していても積極的利用意思がなければ共同正犯不成立になるとの帰結は導けない。

よって正解は 2 と 4。

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