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司法試験 / 刑法

2021年 司法試験 刑法 第5問 解説

  • 共犯
  • 殺人罪

解説

AI 生成

この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。

問題と選択肢

〔第5問〕(配点:2)

次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】を検討した場合,誤っているものはどれか。なお,共同正犯に関する刑法第60条は,結果的加重犯にも適用されることを前提とする。(解答欄は,[No.10])

【事例】

甲乙両名は,2人でVに向けて石を投げることにし,それぞれVに石を投げた。その際,甲には,傷害の故意しかなかったのに対し,乙には,未必的な殺意があった。両名が投げた石のうち,甲の投げた石がVの頭部に当たり,Vが死亡するに至った。

【見解】

A説:共同正犯とは,数人が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の間に重なり合いがあれば,そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め,軽い犯罪の故意しか有しない者には,軽い犯罪の刑を科す。

B説:共同正犯とは,数人が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の重なり合う限度で軽い犯罪の共同正犯の成立を認め,重い犯罪の故意を有する者には,共同正犯とは別に,その故意に応じた単独犯の成立を認める。

C説:共同正犯とは,数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり,特定の犯罪を共同して実現する場合はもちろん,単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を実現する場合も,それぞれの行為について共同正犯の成立を認める。

【記述】

  1. 1.A説からは,甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
  2. 2.A説に対しては,罪名と科刑が分離し,妥当でないとの批判がある。
  3. 3.B説に対しては,重い犯罪の故意を有する乙について,重い犯罪の単独犯として構成した場合には,自らの行為と死亡結果の因果性を欠くことから,殺人既遂罪の成立を認めることが困難となるとの指摘がある。
  4. 4.B説とC説とで,甲に成立する罪名は異ならない。
  5. 5.C説からは,甲と乙に傷害致死罪の共同正犯が成立するにとどまるとの結論が導かれる。正解

正解: 5

本問は、共同行為者間で故意の内容に食い違いがある場合 (傷害故意の甲 + 殺意の乙、結果として V 死亡) の罪責処理について、A 説 (部分的犯罪共同説のうち罪名と科刑を分離する類型)、B 説 (部分的犯罪共同説のうち重い故意者を単独犯とする類型)、C 説 (行為共同説) の各立場からどう構成されるかを問う学説問題である。前提として 刑法 60 条 が結果的加重犯にも適用されるため、共同正犯の枠内で傷害致死罪が問題となる。

  1. 正しい。A 説は構成要件の重なり合いがあるときに「より重い犯罪」について共同正犯の成立を認めるので、傷害罪と殺人罪の重なり合いを前提に、甲乙ともに殺人罪の共同正犯が成立する。甲には傷害の故意しかないため科刑のみ傷害致死罪の刑にとどめる、というのが A 説の処理である。

  2. 正しい。A 説では甲について「殺人罪共同正犯の成立を認めつつ傷害致死罪の刑を科す」という処理になり、成立する罪名と実際に科される刑が一致しない。罪名と科刑の分離は責任主義・罪刑法定主義の観点から不当だ、というのが A 説に対する典型的批判である。

  3. 正しい。B 説は重なり合う限度で軽い犯罪 (傷害致死罪) の共同正犯を認めた上で、重い故意を有する乙には別途殺人罪の単独犯を成立させる立場である。ところが本事例で V を死亡させた石は甲が投げたものであり、乙が単独犯として評価される場合、乙自身の投擲行為と V の死亡との間の因果性を欠くため、乙について殺人既遂罪を構成することが困難になる、という指摘が B 説に対して向けられる。

  4. 正しい。B 説では甲は重なり合う限度で傷害致死罪の共同正犯となり、C 説 (行為共同説) でも甲は自身の故意に応じた罪 (傷害致死罪) について共同正犯となる。いずれの説でも甲に成立する罪名は傷害致死罪の共同正犯で一致する。

  5. 誤り。C 説 (行為共同説) は「行為を共同して各自の意図する犯罪を実現する場合」にそれぞれの行為について共同正犯の成立を認める立場であり、各自は自分の故意に応じた罪名で共同正犯となる。本事例では甲は傷害致死罪の共同正犯、乙は殺意があるため殺人罪の共同正犯となるはずであり、甲乙ともに傷害致死罪の共同正犯にとどまる、とする本記述は C 説の帰結と整合しない。

よって正解は 5。

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