司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第2問 解説
- 住居侵入罪
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第2問〕(配点:4)
住居侵入等の罪に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。(解答欄は,アからオの順に[No.2]から[No.6])
ア.甲は,警察署の敷地内に駐車中の捜査用車両のナンバーを把握しようと考え,外部から同敷地内への交通を制限するために設置され,内部をのぞき見ることができない構造になっている高さ2.5メートル,幅0.2メートルの同警察署の塀をよじ登り,その上に立った。この場合,甲には,建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。[No.2]
イ.甲は,窃盗の目的で,乙が所有し,その扉や窓に施錠して管理していた空き家に立ち入った。この場合,甲には,邸宅侵入罪が成立する。[No.3]
ウ.甲は,強盗の目的で,面識のない乙方に行き,その意図を隠しながら,玄関前で,「こんばんは。」と挨拶したところ,これを知人による来訪と勘違いした乙が,「どうぞ入ってください。」と答えたので,乙方内に立ち入った。この場合,甲には,住居侵入罪は成立しない。[No.4]
エ.甲は,乙会社が所有するビルに窃盗に入る目的で,同ビルに接しており,同社が設置した門扉及び金網フェンスによって,同ビルの利用のために供されるものであることが明示され,部外者の出入りが制限されている敷地部分に立ち入ったが,同ビルに立ち入る前に警備員に取り押さえられた。この場合,甲には,建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。[No.5]
オ.甲は,住居権者乙の意思に反し,乙方家屋に立ち入ったが,その後,乙から退去を求められたにもかかわらず数時間にわたって同家屋に居座った。この場合,甲には,住居侵入罪だけでなく,不退去罪も成立し,両罪は併合罪となる。[No.6]
- 1
- 2正解
- 1正解
- 2
- 1
- 2正解
- 1
- 2正解
- 1
- 2正解
問題のリキャップ
刑法 130 条 住居侵入等の罪について、5 つの記述を判例の立場で正誤判定する問題。
正解: ア=2, イ=1, ウ=2, エ=2, オ=2
ア. 誤り: 警察署の塀の上に立った時点で建造物侵入既遂
判例・通説上、建造物侵入罪は 建造物の囲繞地等の管理権の及ぶ範囲 に侵入した時点で既遂となる。警察署の敷地への立入禁止のために設けられた塀をよじ登り、その上に立った時点で、当該塀および敷地への管理権を侵害しており、建造物侵入既遂罪が成立する。「未遂罪が成立するにとどまる」とする本肢は判例の立場と整合しない。
イ. 正しい: 空き家への侵入は邸宅侵入罪
刑法 130 条 は「住居」「邸宅」「建造物又は艦船」を客体とする。邸宅 とは、住居の用に供する建造物で現に居住者がないものをいう (判例・通説)。所有者乙が施錠管理している空き家は典型的な「邸宅」に当たり、窃盗目的での立入は邸宅侵入罪を構成する。本肢は正しい。
ウ. 誤り: 強盗目的を秘匿した立入は住居侵入罪成立
住居権者の 真意に反する立入 は住居侵入罪を構成するとされ、外形上は承諾を得ていても、その承諾が住居権者の 錯誤 に基づき、犯罪目的を秘匿していた場合には、承諾は侵入の違法性を阻却しないと整理されている。強盗目的を秘匿して入室の承諾を得たとしても、住居権者の真意に反するから住居侵入罪が成立すると解される。「住居侵入罪は成立しない」とする本肢は通説的整理と整合しない。
エ. 誤り: 囲繞地立入時点で建造物侵入既遂
ビルに接続する敷地のうち、門扉や金網フェンスで部外者の出入りが制限され、ビルの利用のために供されるものであることが明示されている部分は、ビルの囲繞地 として建造物の一部を構成する (判例)。この囲繞地に立ち入った時点で建造物侵入既遂罪が成立し、ビル本体への立入前であっても未遂にとどまるわけではない。本肢は誤り。
オ. 誤り: 住居侵入と不退去は包括一罪
住居侵入の意思で立ち入り、その後退去要求を受けたにもかかわらず居座り続けた場合、当初の侵入行為が継続している関係にあるので、 住居侵入罪 (刑法 130 条 前段) のみが成立し、不退去罪 (130 条後段) は別途成立せず、両罪は包括一罪 として処理されると整理されることが多い。本肢の「両罪が成立し併合罪」は通説的整理と整合しない。
よって、ア=2, イ=1, ウ=2, エ=2, オ=2。