司法試験 / 刑法
2021年 司法試験 刑法 第17問 解説
- 正当防衛
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第17問〕(配点:3)
正当防衛(刑法第36条第1項)に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。(解答欄は,[No.28],[No.29]順不同)
- 1.刑法第36条第1項における「急迫」というには,法益の侵害が現に存在していることを要する。
- 2.刑法第36条第1項における「やむを得ずにした行為」というには,反撃行為が権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること,すなわち侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることを要する。正解
- 3.急迫不正の侵害がないのにあると誤信して,防衛の意思で反撃行為を行った場合でも,正当防衛が成立し得る。
- 4.刑法第36条第1項にいう「権利」は,個人的法益に限られ,国家的・社会的法益は,これに含まれない。
- 5.刑法第36条第1項における「不正の侵害」というには,可罰的な行為であることを要しない。正解
正解: 2 と 5
正当防衛 (刑法 36 条 1 項) の各要件 (急迫性・防衛のため・やむを得ずにした行為・不正の侵害・権利) について、判例の立場を逐一検討する。
-
誤り。「急迫」とは法益の侵害が間近に押し迫っていることをいい、現に侵害が発生していることまでは要しない。侵害が現存していなければ正当防衛が成立しないとすると、侵害がまさに開始されようとする段階での反撃を許容できなくなり、防衛権の機能を損なうためである。
-
正しい。「やむを得ずにした行為」とは、急迫不正の侵害に対する反撃として必要であり、かつ防衛手段として相当性を有する行為をいう、というのが判例の確立した整理である。必要性と相当性の双方を満たさない反撃は、過剰防衛 (同条 2 項) として刑の任意的減免にとどまる。
-
誤り。急迫不正の侵害は正当防衛成立の客観的要件であり、現実に存在しないのに存在すると誤信したにすぎない場合 (誤想防衛) は、同要件を欠く以上 正当防衛は成立しない 。誤信に過失がなければ責任故意が阻却されうるという別問題が残るにとどまり、36 条 1 項本来の正当防衛として違法性が阻却されるわけではない。
-
誤り。「権利」には個人的法益のみならず、国家的法益・社会的法益も含まれうるというのが判例の立場である。条文上「自己又は他人の権利」と広く規定されている文言からも、個人的法益に限定する根拠はない。
-
正しい。「不正」とは違法であることを意味し、可罰性 (構成要件該当性・違法性・責任を全て備え刑罰権が及ぶこと) までは要しない。したがって責任無能力者による侵害や、刑罰法規上不可罰とされる行為であっても、客観的に違法であれば「不正の侵害」にあたり、これに対する正当防衛が可能となる。
よって正解は 2 と 5。