司法試験 / 刑法
2022年 司法試験 刑法 第1問 解説
- 構成要件
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第1問〕(配点:3)
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は、[No.1]、[No.2]順不同)
- 1.甲は、麻薬であるヘロインの粉末を覚醒剤と誤信して営利目的で輸入した。ヘロインの営利目的輸入罪と覚醒剤の営利目的輸入罪の法定刑は同一であった。この場合、甲には、覚醒剤の営利目的輸入罪が成立する。正解
- 2.暴力団組員甲は、配下の組員乙に対し、抗争状態にある暴力団組員Aとの間でもめごとが起きた場合にはAを殺害してよいが、実際にAを殺害するかは乙の判断に任せる旨伝えて拳銃を渡し、乙も了承したところ、乙は、Aともめたことから、殺意をもってAを射殺した。甲が乙とAの間でもめごとが起きることがあり得ると認識していた場合、甲には、殺人罪の故意が認められる。
- 3.甲は、殺意をもってAに向けて拳銃を発射したところ、その弾丸がAを貫通し、その背後にいて甲がその存在を認識していなかったBにも命中し、その結果、Aが死亡し、Bが重傷を負った。この場合、甲には、Aに対する殺人罪が成立するが、Bに対する殺人未遂罪は成立しない。正解
- 4.甲は、乙にAへの暴行を教唆し、乙もその旨決意し、Aに暴行を加えて死亡させたが、甲は同教唆の時点でAが死亡する可能性を予見していなかった。この場合、甲には、傷害致死罪の教唆犯が成立する。
- 5.甲は、殺意をもってAの首を絞めたところ、Aが動かなくなったので、Aが死亡したものと誤信し、犯行の発覚を防ぐ目的で、Aを砂浜に運んで放置し、その結果、Aが砂を吸引して窒息死した。この場合、甲には、殺人罪が成立する。
正解: 1 と 3 (誤っているもの)
抽象的事実の錯誤、未必の故意、法定的符合説、結果的加重犯の教唆、因果関係 (ヴェーバーの概括的故意) を横断する設問。判例の立場で各記述を検討する。
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誤り。法定刑が同一の麻薬と覚醒剤の輸入では、抽象的事実の錯誤の処理として両罪の構成要件が「重なり合う限度」で故意が認められるが、客観的に輸入したのはヘロインである以上、成立するのは ヘロインの営利目的輸入罪 であって覚醒剤の営利目的輸入罪ではない。客観面 (ヘロイン) と主観面 (覚醒剤) のうち、罪名は客観面に従う。
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正しい。「もめごとが起きれば A を殺害してよい」という条件付き許諾でも、甲がもめごとの発生を認識していれば、A 死亡という結果発生の現実的可能性を認容しているといえ、未必の故意による殺人の故意 (刑法 38 条、刑法 199 条) が認められる。共謀共同正犯 (刑法 60 条) の故意要件としても充足する。
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誤り。法定的符合説 (数故意犯説) によれば、A に対する 1 個の殺意があれば、認識していなかった B についても殺人の故意が認められると整理される。これは方法の錯誤・客体の錯誤を通じて構成要件の符合を肯定する立場であり、判例の立場としても整理されることが多い。したがって B に対する 殺人未遂罪も成立 し、A に対する殺人既遂罪と観念的競合となるのが通説的整理であり、「B に対する殺人未遂罪は成立しない」とする本記述は誤り。
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正しい。傷害致死罪は暴行・傷害の結果的加重犯であり、教唆者 (刑法 61 条) には基本犯 (暴行) の教唆故意があれば足り、加重結果 (死亡) の予見は不要とするのが判例の立場。乙が暴行から死亡結果を生じさせた以上、甲には 傷害致死罪の教唆犯 (刑法 205 条 ・ 61 条) が成立する。
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正しい。第 1 行為 (絞首) と第 2 行為 (砂浜放置) を一連の行為と評価し、第 1 行為に基づく殺意のもとで生じた死亡結果との間に因果関係を肯定するのが判例の立場 (いわゆるヴェーバーの概括的故意の事案)。第 2 行為時に死亡を誤信していたことは故意を阻却せず、 殺人既遂罪 (刑法 199 条) が成立する。
よって誤っているのは 1 と 3。