司法試験 / 刑法
2022年 司法試験 刑法 第7問 解説
- 共犯
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第7問〕(配点:2)
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。(解答欄は、[No.13])
- 1.甲は、友人乙がV所有の自動車(以下「V車」という。)の車体をバットで叩いて損壊しているのを発見し、自分も加勢しようと考え、乙に気付かれないように物陰から石を投げ付け、V車の窓ガラスを割った。乙は、その直後に周囲を見回し、物陰にいた甲の姿を見て、甲がV車に石を投げ付けたと認識したが、それ以降は、甲及び乙のいずれも、V車の損壊行為を行わなかった。この場合、甲には、器物損壊罪の共同正犯が成立する。
- 2.甲と乙は、友人丙がVから暴行を受けているのを発見し、丙を助けるために意思を通じ、正当防衛としてVに暴行を加えた。これにより、攻撃の意思を失い攻撃をやめたVが現場から逃走したため、甲は、暴行をやめたが、乙は、Vを追いかけて更にVに暴行を加えて傷害を負わせた。その間、甲は、乙の行動に驚き、乙が暴行を加えるのを傍観していた。この場合、甲には、傷害罪の共同正犯が成立する。
- 3.甲と乙は、Vに対する強盗を共謀し、乙が先にV方に入り、甲のための侵入口を確保したが、現場付近に人が集まってきたことに気付いた甲は、乙に電話をかけ、「もう犯行をやめた方がよい。先に帰る。」と一方的に告げて、その場から立ち去った。その後、乙は、Vから現金を強取し、その際、Vに傷害を負わせた。この場合、甲には、住居侵入罪及び強盗致傷罪の共同正犯が成立する。正解
- 4.甲と乙は、Vに対する強盗を共謀し、甲がVに包丁を示して、「金を出せ。」と要求したが、甲は、Vに憐憫の情を抱き、Vに「金は要らない。」と言うとともに、乙にも「お前も強盗なんかやめておけ。」と言ってその場を立ち去った。その後もVは甲の脅迫によって反抗抑圧され続けており、乙は、その状態を利用してVから現金を強取した。この場合、甲には、中止犯が成立する。
- 5.甲と乙は、Vの殺害を共謀し、甲がVをナイフで切り付けて傷害を負わせたが、甲は、Vに憐憫の情を抱き、犯行をやめようと決意した。甲は、更にVを切り付けようとする乙を羽交い締めにし、Vがその隙に逃走したため、乙は、犯行を継続できず、Vは、死亡するに至らなかった。この場合、甲と乙には、いずれも中止犯が成立する。
正解: 3
共犯関係からの離脱・共謀解消・中止犯の射程を問う組合せ問題。
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誤り。共同正犯 (刑法 60 条) には双方向の意思連絡が必要であり、片面的共同正犯は認められない。乙は石を投げた直後に甲の関与を認識したにとどまり、両者の間に犯行遂行に向けた相互の意思連絡は成立していない。甲には片面的幇助 (刑法 62 条) の余地が残るにすぎず、共同正犯は成立しない。
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誤り。当初の共謀は丙のための 正当防衛としての反撃 に向けられたものであり、攻撃の意思を失って逃走する V を乙が追跡して加えた暴行・傷害は当初の共謀の射程を超える乙の単独行為にあたる。共謀解消の議論を経るまでもなく、傷害結果は甲に帰責されない。
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正しい。最決平21.6.30 と同型の事案である。共謀関係からの離脱が認められるためには共犯関係の 因果性の遮断 が必要であり、強盗の着手前段階であっても、電話で「やめた方がよい、先に帰る」と一方的に伝えただけで犯行を防止する格別の措置を講じていない以上、共謀解消は認められない。乙が遂行した住居侵入 (刑法 130 条) と強盗致傷 (刑法 240 条) は甲にも帰責され、共同正犯が成立する。
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誤り。前肢と同じく、甲が反抗抑圧状態を解除する措置を講じないまま立ち去ったにとどまる以上、共犯関係の因果性は遮断されず共謀解消は否定される。よって乙の単独強取による既遂結果は甲にも帰責され、甲には強盗罪 (刑法 236 条 1 項) の 共同正犯が既遂で成立 する。中止犯 (刑法 43 条 但書) は未遂段階の中止行為を前提とする制度であり、既遂が成立した者について中止犯を論ずる余地そのものがない。
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誤り。中止犯の刑の必要的減免の効果は、自ら任意に中止行為を行った者に 個人的にのみ 及び、共同正犯の他の構成員に当然に及ぶものではない。甲は乙を羽交い締めにして V の逃走を可能にしており甲自身には中止犯成立の余地があるが、乙は何ら中止行為を行っていないから乙には殺人未遂罪 (刑法 199 条・刑法 203 条) が成立するにとどまる。「甲・乙双方に中止犯が成立する」とする本肢は誤り。
よって正解は 3。