司法試験 / 刑法
2022年 司法試験 刑法 第10問 解説
- 略取・誘拐罪
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第10問〕(配点:2)
略取誘拐罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものはどれか。(解答欄は、[No.17])
- 1.身の代金目的略取誘拐罪にいう「安否を憂慮する者」は、被拐取者の安否を親身になって憂慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係が被拐取者との間にある者に限らず、同情から被拐取者の安否を気遣う第三者も含む。
- 2.未成年者誘拐罪の手段である欺罔は、被誘拐者に対して用いられる必要があり、監護者に対して用いられる場合を含まない。
- 3.刑法第228条の2(解放による刑の減軽)が適用されるためには、被拐取者を、「安全な場所」に解放する必要があるところ、「安全」とは、被拐取者が救出されるまでの間におよそ危険が生じないことを意味するから、漠然とした抽象的な危険や不安感ないし危惧感を伴うのであれば、「安全な場所」とはいえない。
- 4.自ら移動する意思も能力も有していない生後間もない嬰児であっても、未成年者略取誘拐罪の客体に当たる。正解
- 5.未成年者略取罪の保護法益には親権者の監護権も含まれるので、親権者が、他の共同親権者の監護下にある未成年の子を略取する行為については、未成年者略取罪が成立することはない。
正解: 4
略取誘拐罪の総合問題。各記述を判例・通説に照らして検討する。
-
誤り。身の代金目的略取誘拐罪 (刑法 225 条の 2) にいう「安否を憂慮する者」は、被拐取者の安否を親身になって憂慮するのが社会通念上当然とみられる 特別な関係 にある者 (近親者等) に限られると解されている。単に同情から被拐取者の安否を気遣うにすぎない第三者は含まれない。
-
誤り。未成年者誘拐罪 (刑法 224 条) の手段である 欺罔の対象 は、被誘拐者本人に限られず、監護者 (親権者・後見人) に対して用いられる場合も含む。監護者を欺いて未成年者を引き渡させる行為も同罪を構成する。
-
誤り。刑法 228 条の 2 にいう「安全な場所」は、被拐取者が救出されるまでの間に およそ危険が生じない場所 である必要はない。漠然とした抽象的な危険・不安感を伴うとしても、具体的・現実的な危険が生じない場所であれば「安全な場所」に当たり得ると解されている。記述は要件を厳格に過ぎる。
-
正しい。刑法 224 条以下の客体は「未成年者」であって、自ら移動する意思や能力を有することは構成要件として要求されていない。略取とは不法な実力行使によって被害者を生活環境から離脱させる行為を指すから、自ら移動する意思も能力もない 生後間もない嬰児 であっても、客体に当たる。
-
誤り。最決平17.12.6 は、別居中の他方親権者の下で監護養育されていた子を共同親権者である父が有形力を用いて連れ去った事案について、当該行為が 未成年者略取罪の構成要件に該当する ことを前提としたうえで、親権者であることは違法性阻却の問題として考慮すべきとし、本件事情下では違法性は阻却されないと判示した。したがって、親権者が共同親権者の監護下にある子を略取する行為につき同罪が「成立することはない」とする記述は判例と矛盾する。
よって正しいのは記述 4 のみ。正解は 4。