司法試験 / 刑法
2022年 司法試験 刑法 第16問 解説
- 違法性
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第16問〕(配点:2)
違法性に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。(解答欄は、[No.27])
ア.私人が現行犯人を逮捕しようとする場合、犯人から抵抗を受けたときは、その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当と認められる限度内の実力を行使したことで犯人に傷害を負わせたとしても、法令による行為に当たるから、傷害罪が成立することはない。
イ.勤労者の争議行為に際し、人の看守する建造物に看守者の意思に反して侵入した場合、法令による行為に当たるから、建造物侵入罪が成立することはない。
ウ.虚偽告訴の罪で起訴された者が、人違いで告訴したと気付きながら、公判廷において、公然と虚偽の事実を摘示して被告訴人の名誉を毀損した場合、被告人としての防御権の行使に当たるから、名誉毀損罪が成立することはない。
エ.商人が、自己と通謀して客を装い他の客の購買心をそそる者(いわゆる「さくら」)を使って、商品の効用が極めて大きく世評も売れ行きも良いように見せかけて客を欺罔し、これを信じた客に効用の乏しい商品を売り付けた場合、正当な業務による行為に当たるから、詐欺罪が成立することはない。
オ.宗教上の加持祈祷の行として他人の生命、身体に危害を及ぼす有形力を行使し、その結果、その他人を死亡させた場合、正当な業務による行為に当たるから、傷害致死罪が成立することはない。
- 1.1個正解
- 2.2個
- 3.3個
- 4.4個
- 5.5個
正解: 1(正しいのはアのみ、1 個)
刑法 35 条 の正当行為 (法令行為・正当業務行為) 該当性を、5 つの典型事案について判例の立場で問う総合問題。
ア. 正しい。私人による現行犯逮捕は刑事訴訟法 213 条で認められており、抵抗を受けた際に 社会通念上必要かつ相当と認められる限度内 の実力行使は刑法 35 条の 法令による行為 として違法性が阻却される。本記述は「必要かつ相当と認められる限度内」と限定を付しているため、傷害罪は成立しないと整理されている。
イ. 誤り。勤労者の争議行為であっても、看守者の意思に反して建造物に侵入する行為は争議行為として正当な範囲を逸脱することが多く、判例上、刑法 130 条 の建造物侵入罪が 一律に成立しない とは解されていない。事案ごとに目的・手段の相当性を検討すべきもので、「成立することはない」と断定する記述は誤り。
ウ. 誤り。被告人の防御権の行使は一般に違法性阻却事由となり得るが、人違いで告訴したと 気付きながら、公判廷で公然と虚偽の事実を摘示して被告訴人の名誉を毀損する行為は、防御権の正当な範囲を超える濫用であり、刑法 230 条 の名誉毀損罪が成立する余地がある。「成立することはない」と断ずる記述は誤り。
エ. 誤り。「さくら」を使って商品の効用や売れ行きを偽装し、効用の乏しい商品を客に売り付ける行為は、商業取引上許容される宣伝の範囲を超えた 欺罔行為 であり、正当な業務とは認められない。刑法 246 条 の詐欺罪が成立し得る。
オ. 誤り。判例上、宗教上の加持祈祷であっても、他人の生命・身体に危害を及ぼす有形力の行使が 反社会的なもの と認められる場合は正当業務行為として違法性が阻却されない。本記述のように被害者を死亡させた事案では 刑法 205 条 の傷害致死罪が成立する。「成立することはない」と断ずる記述は誤り。
よって正しいのは アのみの 1 個。正解は 1。