司法試験 / 刑法
2022年 司法試験 刑法 第17問 解説
- 罪数
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第17問〕(配点:3)
罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものを2個選びなさい。(解答欄は、[No.28]、[No.29]順不同)
- 1.甲は、Aから財物を詐取した上で当該財物の返還を免れるためにAを殺害することを計画し、計画どおりにAから財物を詐取し、その後、殺意をもってAの胸部をナイフで刺して殺害し、これにより、財物の返還を免れるという財産上不法の利益を得た。甲には、詐欺罪と強盗殺人罪が成立し、これらは包括一罪となる。
- 2.暴力団幹部甲は、配下の組員数名とともに、Aの身体に共同して危害を加える目的で、日本刀数本を準備してA方前に集合し、その直後、外に出てきたAの顔面を手拳で数回殴打する暴行を加えた。甲には、凶器準備集合罪と暴行罪が成立し、これらは併合罪となる。
- 3.甲は、業務として猟銃を用いた狩猟に従事していた際、Aを熊と誤認して発砲し、Aに傷害を負わせ、その直後にAを誤射したことに気付いたが、Aを殺害して逃走しようと決意し、殺意をもってAの胸部に向けて発砲し、Aを即死させた。甲には、業務上過失傷害罪と殺人罪が成立し、これらは包括一罪となる。正解
- 4.甲は、A銀行が発行したB名義のキャッシュカード1枚をBから窃取した上、これを利用してA銀行の現金自動預払機から預金を不正に払い戻した。甲には、2個の窃盗罪が成立し、これらは併合罪となる。
- 5.甲は、対立する不良グループのメンバーA及びBを襲撃することを計画し、路上で発見したAをバットで1回殴打した直後、そばにいたBを同バットで1回殴打し、両名に傷害を負わせた。甲には、2個の傷害罪が成立し、これらは包括一罪となる。正解
正解: 3 と 5(誤り 2 個)
罪数の判例的整理を問う設問。
1. 正しい。先行する 1 項詐欺罪 (刑法 246 条) で財物を取得した後、その財物の返還を免れるため A を殺害して財産上不法の利益を得た場合、後行の 2 項強盗殺人罪 (刑法 240 条 後段) は同一財産に対する利益保持を実質的内容とする。両罪は被害財産が同一であり、判例上、後行の強盗殺人が先行詐欺を吸収して 包括一罪 となると整理されている。
2. 正しい。凶器準備集合罪 (刑法 208 条の 2) は集合行為それ自体の危険性を独立に処罰する罪であり、その後現実に行われた暴行 (刑法 208 条) は別個の実行行為として評価される。両罪は判例上 併合罪 (刑法 45 条) と整理されている。
3. 誤り。最初の誤射は業務上過失傷害罪 (刑法 211 条)、その後 A を誤射したと認識した上で殺意をもってした発砲は殺人罪 (刑法 199 条) を構成するが、両者は 犯意・実行行為がいずれも別個 であり、包括一罪とする余地はない。判例の立場では 併合罪 となる。
4. 正しい。B からのキャッシュカード窃取 (刑法 235 条) と、当該カードを利用した A 銀行 ATM からの現金引出 (同条) は、被害者・占有侵害の対象がそれぞれ異なる別個の窃盗行為。判例上 併合罪 とされる。
5. 誤り。A をバットで殴打した後、別人 B を同じバットで殴打して両名に傷害を負わせた場合、被害者ごとに別個の暴行・傷害行為があり、1 個の行為と評価することはできない。包括一罪にはならず、判例の立場では別個の傷害罪が成立して併合罪となる (時間的場所的近接性があっても被害者を異にする以上、観念的競合にもならない)。
よって誤っているのは 3 と 5。