司法試験 / 刑法
2022年 司法試験 刑法 第8問 解説
- 責任能力
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第8問〕(配点:2)
責任能力に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。(解答欄は、[No.14])
ア.心神喪失とは、精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力又はこの弁識に従って行動する能力のない状態を指すと解されているところ、ここにいう精神の障害とは、飲酒による酩酊等、一時的な精神状態の異常も含まれる。
イ.13歳の少年の行為は、罰しないことが原則であるが、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合、事案の重大性等の事情を考慮し、相当と認めるときは刑罰を科すことができる。
ウ.自ら日常的・継続的に覚醒剤を使用した影響により、継続的な精神障害が生じ、心神耗弱状態で傷害の犯行に及んだ場合には、自己の先行行為によって心神耗弱状態を招いたものであるから、刑法第39条第2項を適用する余地はない。
エ.刑法第39条第2項は刑の任意的減軽を定めているから、犯行時に心神耗弱の状態にあったとしても、その刑を減軽しないことができる。
オ.精神障害を有する同一人について、Aという罪に当たる行為については責任能力があるが、Bという罪に当たる別の行為については責任能力がないという事態は観念し得る。
- 1.アイ
- 2.アオ正解
- 3.イウ
- 4.ウエ
- 5.エオ
正解: 2(アオ)
責任能力 (刑法 39 条・刑法 41 条) の総合問題。心神喪失・心神耗弱の意義、刑事責任年齢の絶対性、原因において自由な行為と 39 条 2 項の関係、責任能力の行為ごと個別評価が問われている。
ア. 正しい。心神喪失とは「精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力又はこの弁識に従って行動する能力のない状態」と解されている。ここにいう精神の障害は医学的精神疾患に限られず、飲酒による酩酊等の一時的な精神状態の異常も、弁識・制御能力を失わせる程度に至れば含まれると整理されている。
イ. 誤り。刑法 41 条は「14 歳に満たない者の行為は、罰しない」と定める 絶対的・必要的不処罰 規定である。13 歳の少年が故意の犯罪行為で被害者を死亡させたとしても、事案の重大性等を理由に刑罰を科す余地はない (少年法による保護処分は刑罰ではない)。
ウ. 誤り。自ら継続的に覚醒剤を使用したことで精神障害が生じ、心神耗弱状態で犯行に及んだ場合であっても、犯行時に現に心神耗弱状態が認められる以上、刑法 39 条 2 項の適用は原則として否定されない。原因において自由な行為の法理は限定的に適用されるにすぎず、先行的な薬物使用があったというだけで一律に 2 項の適用が排除されるわけではない。
エ. 誤り。刑法 39 条 2 項は「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」と定める 必要的減軽 規定であり、任意的減軽ではない。心神耗弱が認定された以上、減軽しない選択は許されない。
オ. 正しい。責任能力は行為ごとに個別に判断されるべきものと整理されており、同一の精神障害を有する者についても、A 罪に当たる行為時には責任能力があり、B 罪に当たる別の行為時には責任能力がない、という事態は観念し得る。
よって正しい記述はア・オの組合せ → 正解は 2。