司法試験予備試験 / 刑法・刑事訴訟法(短答)
2023年 司法試験予備試験 刑法・刑事訴訟法(短答式) 第10問 解説
- 刑法各論
- 判例
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第10問〕(配点:2)
次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合、甲に窃盗罪が成立しないものはどれか。(解答欄は、[№12])
- 1.甲は、V宅内において、Vが所在を見失っていたV所有の指輪を発見し、これを自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。
- 2.甲は、Vが海中に取り落としたV所有の金塊について、Vからおおよその落下場所を教えてもらった上で回収を依頼され、Vの眼前で同所に潜り、同金塊を同所付近で発見したものの、これを自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。
- 3.甲は、看守者のいない仏堂に所有者Vが据え置いてまつっていた仏像を、自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。
- 4.甲は、Ⅴが乙から窃取した乙所有の腕時計を、これが盗品であることを知りながら自己のものにしようと考えて、Ⅴ宅に忍び込んで無断で持ち去った。
- 5.甲は、満員電車内において、乗客Vが網棚にかばんを置き忘れたままA駅で下車したのを目撃し、B駅で下車する際、同かばんを自己のものにしようと考えて無断で持ち去った。正解
正解: 5
窃盗罪 (刑法 235 条) と占有離脱物横領罪 (刑法 254 条) の区別が論点。被害者の事実上の支配 (占有) が物に及んでいる間に持ち去れば窃盗罪、占有が失われた物 (遺失物・置き忘れ等) を持ち去れば占有離脱物横領罪となる。
判例実務は、所有者が個別の物の所在を把握していなくとも、住居・社寺等の閉鎖的・管理的空間に置かれた物にはその支配主体の占有を肯定し、また被害者が落下場所を特定し眼前で回収中の物にも占有の継続を認める一方、公共交通機関内に置き忘れて被害者が空間的・時間的に離れた物については占有が失われると整理する。
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窃盗罪成立。V宅という閉鎖空間内では、Vが個別の指輪の所在を見失っていても住居全体への支配が及び、宅内の物にはVの占有が継続する。これを甲が無断で持ち去れば、占有侵害として窃盗罪が成立する。
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窃盗罪成立。Vが海中に落とした金塊であっても、Vがおおよその落下場所を特定し、甲にその場所を教示して眼前で回収を依頼している以上、Vの事実上の支配は当該金塊に継続している。回収中に甲が領得意思を生じて持ち去れば窃盗罪となる。
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窃盗罪成立。看守者のいない仏堂の据置仏像であっても、社会通念上、所有者Vの管理・占有が肯定されるのが判例実務の立場。これを無断で持ち去れば占有侵害となり、占有離脱物横領罪ではなく窃盗罪が成立する。
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窃盗罪成立。腕時計が乙から窃取された盗品であっても、Vが事実上これを占有している以上、その事実状態自体が刑法上保護される。甲がV宅に侵入してこれを持ち去れば、Vに対する占有侵害として窃盗罪が成立する (Vから乙への返還義務や別途の盗品関与罪の成否は本問の罪責判断とは別論点)。
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窃盗罪不成立。乗客Vが満員電車の網棚にかばんを置き忘れたままA駅で下車した時点で、Vはかばんから空間的・時間的に離れ、置き忘れの認識自体を欠く状態に至っている。そのため、後にB駅で下車する際に甲がかばんを持ち去る時点では、Vの事実上の支配 (占有) は当該かばんに及んでおらず、かばんは占有離脱物となっている。したがって甲の罪責は占有離脱物横領罪 (刑法 254 条) であって、窃盗罪 (刑法 235 条) は成立しない。
よって甲に窃盗罪が成立しないものは肢 5。正解は 5。