司法試験予備試験 / 刑法・刑事訴訟法(短答)
2023年 司法試験予備試験 刑法・刑事訴訟法(短答式) 第9問 解説
- 構成要件
解説
AI 生成この解説は AI が生成したものです。誤りが含まれる可能性があるため、条文・判例などの一次資料を必ず確認のうえ、最終的な判断はご自身で行ってください。
▸問題と選択肢
〔第9問〕(配点:2)
学生A及びBは、次の【事例】における甲の罪責について、後記【会話】のとおり議論している。
【会話】中の①から⑤までの()内に後記【語句群】から適切な語句を入れた場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。なお、①から⑤までの()内にはそれぞれ異なる語句が入る。(解答欄は、[№11])
【事例】
甲は、殺意をもって、Xの腕の静脈内に蒸留水と空気を注射したが、当該空気量が疾病のない健常人に対する致死量未満であったためXは死ななかった。また、甲は、当該空気量が上記致死量未満とは知らなかった。なお、当該空気量であっても被注射者の身体的条件等によっては死亡する危険はあった。
【会話】
学生A.未遂犯と不能犯の区別に関してはいろいろな考え方がありますが、行為の時点において一般人が認識し得た事情と行為者が特に知っていた事情を基礎とし、一般人が結果発生の危険を感じる場合には可罰的未遂を肯定する考え方に立ち、本事例では一般人が結果発生の危険を感じるとすれば、甲に殺人未遂罪が(①)ことになりますね。
学生B.この考え方に対しては、(②)ことになるという批判がありますね。では、結果発生の危険性を事後的客観的に判断する考え方に立った場合、甲の罪責をどう考えますか。
学生A.(③)という考え方によれば、身体的条件等によっては死亡の危険があったので、甲に殺人未遂罪が成立します。一方で、結果発生の危険性を事後的客観的に判断する考え方を徹底すれば、(④)ことになりませんか。
学生B.そうとは限りませんよ。結果が発生しなかった原因究明と同時に、いかなる事情があれば結果発生があり得たかを明らかにし、(⑤)可能性を判断すれば妥当な結論を導けます。
【語句群】
a.成立する
b.成立しない
c.迷信犯に未遂犯を認める
d.印象で未遂犯処罰を決める
e.行為者の認識内容が客観的真実に合致するか否かによって区別する
f.結果発生の絶対的不能・相対的不能によって区別する
g.行為者の誤信が相当と認められる
h.結果発生をもたらす仮定的事実が存在し得た
i.結果不発生の原因を解明できた場合、すべて不能犯となる
- 1.①a②c③e④g⑤h
- 2.①a②d③f④i⑤h正解
- 3.①a②e③f④c⑤g
- 4.①b②d③e④i⑤g
- 5.①b②i③f④c⑤g
正解: 2
未遂犯と不能犯の区別をめぐる学説整理問題。空気注射で致死量未満、ただし被注射者の身体的条件によっては死亡危険ありという事案を素材に、各説の帰結と相互批判を会話形式で問う。
【①】学生 A が立てるのは、行為時に一般人が認識し得た事情 + 行為者が特に知っていた事情を判断基底とし、一般人が結果発生の危険を感じれば未遂を認める 具体的危険説 (折衷説) である。本事例では一般人は静脈への空気注射に死亡の危険を感じる以上、殺人未遂罪は a. 成立する。
【②】具体的危険説への伝統的批判は、可罰性の有無を一般人の主観的「感覚」に委ねる点に向けられる。すなわち d. 印象で未遂犯処罰を決める ことになる、という批判である。
【③】結果発生の危険を事後的・客観的に判断する立場のうち、本事例で殺人未遂を導けるのは f. 結果発生の絶対的不能・相対的不能によって区別する 説 (旧客観説) である。致死量未満であっても被注射者の身体的条件等によっては死亡し得たので、結果発生は「相対的不能」にとどまり未遂が成立する。
【④】もっとも、事後的・客観的判断を徹底すると、結果不発生の原因 (致死量未満であったこと等) を完全に解明できれば、その原因が存する以上およそ結果発生は不可能だったと評価せざるを得ない。すなわち i. 結果不発生の原因を解明できた場合、すべて不能犯となる という極端な帰結に至る。
【⑤】学生 B が示す解決は、結果不発生の原因究明と並行して、どのような事情があれば結果が発生し得たかを明らかにし、h. 結果発生をもたらす仮定的事実が存在し得た 可能性を判断する (修正客観説・仮定的蓋然性説) というもの。本事例なら被注射者の身体的条件次第で死亡し得たという仮定的事実が存在し得た以上、未遂を認める余地がある。
語句対応:
| 空欄 | 語句 | 意味 |
|---|---|---|
| ① | a | 一般人が危険を感じる以上、殺人未遂が成立する |
| ② | d | 一般人の「印象」で未遂処罰を決めるとの批判 |
| ③ | f | 絶対的不能・相対的不能による区別 (旧客観説) |
| ④ | i | 事後的客観的判断の徹底 → すべて不能犯となる帰結 |
| ⑤ | h | 結果発生をもたらす仮定的事実の存在し得た可能性 |
なお b (成立しない)、c (迷信犯に未遂犯を認める)、e (行為者の認識内容が客観的真実に合致するか否かによって区別する)、g (行為者の誤信が相当と認められる) は、いずれも本会話の論理展開に当てはまらない。
よって ①a ②d ③f ④i ⑤h、正解は 2。